膨大な潜在市場を抱えながらも、世界市場に打って出てきた中国。豊富な生産資源、近代的な生産能力、安価な人件費を持つ中国企業に、品質で勝っても、コスト面で劣れば、激化する市場においては競争力を逸する環境にある。

1.クライアントの状況(背景)

品質と生産性の高さにおいては世界的にも優れた水準を維持している加工メーカー。
量産による更なる生産性向上を狙い、数年にわたって、複数の自社基幹工場の順次増築が決定された。
この意思決定に伴い、社内プロジェクトチームが始動、ある基幹工場の増設を行ったが、期日遅れやライン移設による生産性低下等の問題が噴出し、大きな損失を出していた。

2.プロジェクトの目的

残る基幹工場の増設自体をスムーズに行うとともに、ラインを垂直立ち上げし、計画通りの利益を確保する。

3.支援の進め方

1)潜在力評価(Valuation)フェーズで明らかになった事象

前プロジェクト失敗の大きな原因は、生じうるリスク検討が甘いままに、机上の計画を実行したことにあった。

そこで、現状のプロセスを把握するとともに、新プロセスによる役割や業務の変更といった工場増設によって想定されるリスクを大小300項目以上洗い出し、工場増設のためのガイドラインを、プロジェクトメンバーとのディスカッションを通して作成していった。

また、ディスカッションやこれらの活動の中で、組織風土の把握と人材アセスメントをあわせて行い、メンバー同士の関係性や行動特性といった人的リスクも並行して洗い出していった。

2)成果創出(Creation)フェーズにおける活動

従来の組織の壁を越えたタスクフォースチームを結成し3つのプロジェクトを立ち上げた。

プロジェクトの成否は、現場が主体的に考え、納得して実行すること。それ故、以下のルールの遵守以外は、メンバーの主体性に委ねた。
  ・自律的に検討する
  ・自分たちで考え結論に達したものはスピード感をもって実行していく
  ・不具合があれば、即座にオープンにし、軌道修正をはかる
例えば、新設備導入による生産数量の変化をシミュレーション、万が一生産数が落ちるようなことがあれば、その条件を探りだし、改善方法が見つかるまで新設備導入の準備を停止する、異臭が発生すれば、部門関係なく原因を追究しあうといったことを、地道に重ねていった。

4.プロジェクトの成果

組織横断的なプロジェクト活動の結果、ライン移設による品質低下や生産計画の下ぶれといった大きな問題もなく、全ラインの垂直立ち上げが行われた。

工場増設によるコスト競争力アップも収益性向上に貢献し、製造関連部門の生産性が1割程度向上した。株価も同様の伸長を見せた。

また、このプロジェクト活動のプロセスが、日々の業務のなかに浸透しはじめ、何か工場内で問題が生じると、組織横断的なチームを結成し、徹底的に議論を尽くす風土が根付きつつある。

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