流通、小売業再生の基本思想は、「売れる商品を切らさない、売れない商品を作らない」仕組みを個別最適ではなく、バリューチェーンに関わる企業群全体で実現することです。そのためのポイントは、「すべての施策は店舗から」という視点です。

1.クライアントの状況

A社は一部上場の生活雑貨流通チェーン。
本社主導による過度な効率経営と縦割り組織が生み出す弊害が社内に蔓延した結果、「お客様の声」が商品企画、売場、接客に届かず、売り上げが伸び悩んでいた。

2.プロジェクトの目的

店舗、本社、取引先を含めた事業活動全体を「お客様の声」を起点に動く仕組みに作り直し、戦略、プロセス、マネジメント等経営全般に亘り、顧客起点の事業サイクルを実現することで売上向上を狙う。

3.支援の流れ

1)潜在力評価(Valuation)フェーズで明らかになった事象

広範囲なVOC調査(お客様の声の収集)を行い、顧客(取引先・現場を含む)から見た問題点を「見える化」した。

組織内に蔓延していた責任転嫁の体質、調整業務主導の文化が生み出す弊害として、小売の原点である店舗が停滞するなど、バリューチェーンが至るところで分断されていた。また、欠品による機会損失が全接客中の3割にのぼることが明らかとなり、欠品を撲滅するだけで、20%の売上アップが期待できた。

2)成果創出(Creation)フェーズにおける活動

従来の組織ヒエラルキーを超えたタスクフォースチームを組成し、外部協力者から新入社員まで、広範囲にプロジェクトチームを結成。
  ・判断に迷った場合は、トップの声ではなく「お客様の声」をもとに判断する
  ・現場で行われている、「実態」としてのプロセスを調査する
  ・成果は、必ず定量的に把握する
この3つを基本原則として13のチームが立ち上がり、改革が実施された。
PMOには社内から人材を抜擢。プロジェクト間の利害調整、整合性確認、品質管理からプロジェクト終了後の社内、社外への展開と完全定着を狙い、地道な広報活動や文書化を包括的に行った。

4.プロジェクトの成果

こうしたプロジェクトチームの地道な努力と徹底した現場主義、顧客主義の結果、バリューチェーンの分断が解消されていった。

特に、小売の起点である店舗が著しく活性化し、この組織は本部主導型から名実ともに店舗主導型、顧客主導型に変わってきた。今では、売場の販売員1人1人がお客様の視点に立ち、業務プロセスを見直すことが日常業務の1つとして自然に行われている。

財務面での改善も著しく、昨対比で 140%を超え、その後も110%程度の上昇基調で推移し、事業部営業利益ベースで、初めての黒字化を達成した。

現在ではこの改革再生活動が全社的なモデルケースとなり他事業部へ広がりを見せている。

トップへ▲